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George Owen

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ジョージ・オーウェンによるロイヤルウースターの傑作、透かし彫りカップ&ソーサーです。

2重構造になっていることから「ダブルウォール」ともよばれる透かし彫りは、ロイヤルウースターの前身であるチェンバレインウースターですでに確立されていましたが、これはモールドを使用し、透かしを入れる箇所にガイドとなるアウトラインがありました。もちろんそれでも大変難しい技術ですが、ジョージ・オーウェンは、このアウトラインを使用せず、自らの目と感覚のみを頼り、誰にも真似のできない作品を完成させた最高峰の透かし彫り職人です。

1845年生まれのジョージ・オーウェンは、わずか13、14歳で職人としてのキャリアを歩み始め、1917年に亡くなるまで殆どの職人人生をウースターに捧げました。特殊な技術を持つ彼は、ウースターから固定賃金を支払われるのではなく、作品毎にウースターが買い取る契約形態をとっていたようです。自身の作品について記録をつけていなかったため、正確な数は不明ですが、ひとつの作品の完成に膨大な時間を要することから、40年以上のキャリアの中で作られた透かし彫りの作品は1000点ほどではないかと言われています。

見習い時代当初からオーウェンは先輩職人の透かし技術に関心を寄せると同時に、自分ならもっとすごいものができると確信しました。少し自信家のように聞こえますが、実際彼のテクニックは抜きん出ており、アウトライン無しで透かしに挑戦し完成させたのは彼ひとりでした。透かし彫りのデザインと言うと当店でも何度かご紹介している蜂の巣状のものが有名ですが、オーウェンはさらに細かい彫りを可能にするため、コルセットの形状を維持する鉄鋼を抜き取り、彼独自の道具を考案したと言われています。

彫りの作業は粘土がまだ湿ってやわらかい状態でないとできません。そのため、作業可能な時間は30分から1時間くらいが限界です。粘土が乾いてきたらその都度ウェットボックスと呼ばれるものに入れ、再度湿らせる。やわらかくなったところでまた作業を始める・・これを何度も何度も繰り返しながら、時には数ヶ月かけひとつの作品を仕上げていきました。

オーウェンの透かしは非常に細かく整然としているのが特徴です。彫った後の粘土のかけらが2重構造になっている部分の間に入ってしまうと取り除くことができないため、透かしの最後の一箇所を彫る際は、道具の先に油や蜂蜜などをつけ、かけらが道具にくっついて内側に落ちないよう工夫していたのではないかと言われています。

粘土をやわらかい状態に保ち、たくさんの透かしが入っているということは、強度が弱く、常に形が崩れてしまうリスクと背中合わせです。ウェットボックスへの出し入れの際や、焼成窯へ移す作業にはどれほど神経をつかったことでしょう。オーウェンは並外れた集中力と忍耐とぶれることのない手の感覚で透かし彫りを極めたのです。

技術の漏えいを恐れ秘密主義であったオーウェンの制作過程は、推測によるところが多々あります。一説では自分の息子にすら作業しているところを見せなかったと言われていますが、最近では、技術を誰にも継承させなかったと言うより、誰もオーウェンのように完成させることが不可能だったのではないかと言う人もいます。長い年月の間には難易度の高い挑戦を試みた職人も少なくないはずです。それでも今なお、一体どうやってあれだけのものを作ることができたのかという疑問が謎に包まれたままであることが、オーウェンの卓越したスキルを物語っています。

販売の作品は、薄い水色とピンクのベースにホワイトとターコイズのエナメルジュエル、ゴールドビーディングで装飾。感嘆の溜息が漏れる見事な逸品です。


品番 / Ref No.

EN19-79   

状態 / Condition

ダメージや修理箇所等ございません。ソーサーのエッジの小さなジュエルに1箇所剥落がありますが、その他大変良好です。経年によるわずかな擦れ等はご容赦ください。

年代・裏印 / Backstamp

カップにプリント印、ソーサーに刻印 印が擦れているので正確な年代が読み取れませんが、1877年若しくは1887年ではないかと思います。

サイズ / Size (cm)

カップ=直径約7.2、高さ約5 ソーサー=直径約11.8

価格 / Price

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